精華は兵庫を離れ、遠い神奈川に住むのはちょっと不安があるみたいだ。


――いつ、ここに戻れるのだろう。――


 たとえ解決しても、次の事件の依頼が来るまで、その場所で待機だ。

 場合によっては、そのまま卒業だ。

 十二歳で生まれ故郷を離れるのは、つらかろう。


 最後に手紙を書いた。


「今この手紙を読んでいるあなたへ


 お元気ですか。

 無事に戻れてよかったですね。

 事件を立派に解決し、密かに感謝されてますか。

 今、読んでいるときの年齢は分かりませんが、
 きっと、一年以上は経っているでしょう。

 あなたの次なる夢を応援しています。

 
 十二歳、初仕事前の精華より」