「あ、これ、お父さん」
「実の親に向かってこれとはなんだ。これとは」
「ハイハイ、わかったからちょっと引っ込んでてよ」
水鳥に厨房に押し戻されたおじさんに代わって、サラダを持って綺麗な女性が入ってくる。
「あらあら、本当。音色ちゃんにそっくりね」
初めは水鳥の姉だと思った咲姫だったが、水鳥の言葉でそれがまちがいだと知った。
「お母さんも、いいから。それおいてどっか行っててよ」
三十代でも通りそうな艶のある肌に無造作に結んだ薄茶の髪が、若さを醸し出している。
あのおじさんの奥さんだと考えると、まさに美女と野獣という例えがピッタリ。
あまりの驚きに、咲姫は自分が似ているといわれた『音色』という名前について聞くタイミングを失ってしまった。
「ごめんね、ウルサい両親でさ」
「ううん、お母さん若いんですね」
「あんなのただの若作りよ。ほら、食べよう」
そう言いながら、自分はすでにガーリックの香り漂うトーストを口に運んでいる。
「うん…」
咲姫はふわふわのクロワッサンを口にいれた。
「わあ、すごく美味しい」
披露宴の食事も美味しかったのだろうが、あの時の咲姫には味を楽しんでいるような、心の余裕は無かった。
でも、この場所は落ちつく。
ご主人たちの優しさ、心遣いが、咲姫の警戒心を解きほぐしていく。
「実の親に向かってこれとはなんだ。これとは」
「ハイハイ、わかったからちょっと引っ込んでてよ」
水鳥に厨房に押し戻されたおじさんに代わって、サラダを持って綺麗な女性が入ってくる。
「あらあら、本当。音色ちゃんにそっくりね」
初めは水鳥の姉だと思った咲姫だったが、水鳥の言葉でそれがまちがいだと知った。
「お母さんも、いいから。それおいてどっか行っててよ」
三十代でも通りそうな艶のある肌に無造作に結んだ薄茶の髪が、若さを醸し出している。
あのおじさんの奥さんだと考えると、まさに美女と野獣という例えがピッタリ。
あまりの驚きに、咲姫は自分が似ているといわれた『音色』という名前について聞くタイミングを失ってしまった。
「ごめんね、ウルサい両親でさ」
「ううん、お母さん若いんですね」
「あんなのただの若作りよ。ほら、食べよう」
そう言いながら、自分はすでにガーリックの香り漂うトーストを口に運んでいる。
「うん…」
咲姫はふわふわのクロワッサンを口にいれた。
「わあ、すごく美味しい」
披露宴の食事も美味しかったのだろうが、あの時の咲姫には味を楽しんでいるような、心の余裕は無かった。
でも、この場所は落ちつく。
ご主人たちの優しさ、心遣いが、咲姫の警戒心を解きほぐしていく。
