波しぶきのようなホワイトとサムシングブルーで形作られたブーケは、青い空に大きな弧を描いて舞い上がった。


 その場に集う花びらのような女性たちが、小さなブーケに向けてこぞって手を伸ばす。

 上から見ればまるで花の中芯で開く雄しべのように見えることだろう。


 その中の一本になり、私も負けじと大空に手を伸ばす。


 ブーケと、その向こうにある幸せを掴み取ろうと……

視界にブーケを捉えた。

しかし太陽から伸びるきらめきの鎖が私の視界を奪った。

さらに足を何かに引っぱられる。


「あっ……」


 私は誰に支えられることもなく、綺麗に敷き詰められた石畳の上に倒れた。

 ブーケははるか頭上を越え、私の手が届かない遥か彼方の女性の腕のなかへ落ちていった。

 幸せのおこぼれを求める女たちは、私のことなどお構いなしにブーケの行く末を追った。