走っている時。

涼ちゃんの声とか表情とか。

そういうのを全部思い出してた。



案外子供っぽいとこも。 照れ屋なとこも。

無意識に微笑む顔も。


全部全部愛しくて。

貴方を私のものにしたくて。


涙は止まらないのに。


幸せしかなくて。


「涼ちゃん!!!!」


少し前に中庭を眺める大好きな横顔が見えて。

「涼ちゃん!!!!」


大きな声でそう呼ぶと大好きなその横顔が私を見て。

真っすぐなその瞳は私を映していて。


「涼ちゃッッ」


もう一度大きく叫ぼうとすると大好きな香りに包まれていた。



「好きだ……………」



―――――ドクン


今まで聞いた事もないくらいのか細い声で、でも甘く色っぽい声で。


確かにそう囁いた貴方がいたんだ。


抱きしめる腕をより一層強めて。

私を抱きすくめる。


「りょ……ちゃん!!!!」


私も精一杯涼ちゃんを抱きしめた。


好き。好き。

溢れて溢れて止まらないよ。


素直になるね。


「涼ちゃん……大好き……」


涙が次から次へと流れて。

それに気付いてか分からないけどさっきより強く強く抱きしめる。