走り去って行く宮木君にそう言うと教室の中に入って来た。


どうしよ。

私は高鳴る心臓にただ戸惑う事しか出来ない。


「涼ちゃんー!!!見て見て!!」

と苺が涼ちゃんに言う。

その瞬間私の心臓が壊れたように動き出す。

―ドクドクドク

私は厚紙を握る手を微かに震わせる。

手の汗が凄かった。


「おぉ。お前らにしたら綺麗に出来てんじゃん」


―――ヤバイ。


やばいやばいやばい。


涙が自然に私の目に溜まる。

泣いてしまう。

駄目だ。

どうしよ……………


「山下。大丈夫か?」


やめて。やめて。


零れちゃうよ……


「あっはは。莉子今お腹痛いんですよー!!!ね?」


私の背中をそっと撫でたのは百合だった。


「………ん。」


私は小さく返事をすると俯く。

「そっか。気をつけろよ。」


優しく遠慮がちに私の頭を大きい手がなでた。


我慢して。
我慢して。


溢れるくらいの気持ちを必死に止めて。



それなのにそっと触れた涼ちゃんの手に全部が崩れた。

涙が静かに私の頬を伝って震える手に零れ落ちた。

だんだん遠くなっていく足音に私は心が崩れていくような気もした。