―――次の日。


私は重い体を起こしなんとか学校に向かった。


朝の電車に揺られ私はただ流れる景色を見ていた。

私の通う学校はほんの少しだけ街からは外れた田舎にある。

校舎の窓からはたんぼと家しか見えない。


でも息苦しいほどの人で溢れる街からこの場所に来るとどこか落ち着く。



―ガタンゴトン

規則正しく揺れる電車の中で灰色から緑に変わりゆく景色を見つめていた。


電車を下りて改札を出ると見慣れた雰囲気の女の子が俯きながら立っていた。
サラサラな髪に少し猫背なあの立ち方。


「百合…?」


私は目の前にいる女の子に小さく問う。

すると勢い良く顔を上げた百合がいた。


「莉子!!!!!」


百合は急に叫ぶと一気に涙目になり、小さい私を押し倒すぐらいの勢いで抱き着いてくる。


「え!?ゆッ百合!?」


あまりに突然すぎて私はあわてふためく。


「心配したよ!!!!メールしても帰って来ないし!!!」




百合はいったん体を私から離すと私の目を真っすぐ見つめてこう言った。


「何があったかは莉子が話したくなるまで聞かない。でも辛い時は我慢しないで欲しいよ………」