「分かりました…」 私は 口から飛び出そうな心臓をなんとかばれないようにと目線を合わせずに 答える。 「ん。じゃ話はこんだけだから。授業まともに受けろよ。特に数学な?」 いたずらっぽいその表情にまた私の心臓は高鳴りだして。 「はい………」 私はこう答えるのが精一杯だった。 まるで 私は魔法をかけられてしまったように ずっとバクバクしている心臓。 忘れられないあの瞳、声。 矢神先生の全てに私の全てを奪われたようだった。