その後クラス中から いいなあ……という 目線を体全体で 感じながら私は 矢神先生の後を追う。 生徒指導室に入ると 独特な香りが私の鼻を掠めた。 「ま。座れ」 矢神先生の低く透き通る声がまた私の心臓を激しく動かす。 矢神先生に何故呼び出されたのか 分からないまま、私は一人眉を潜めていた。 (私何かした……?) 「お前ずいぶん本部先生に心配かけさしてるらしいな。」 目線は窓の外にあるのが幸い。何となくイイ話ではないのに、矢神先生の切なそうな大人の表情に 胸が高鳴る。