「綺麗ぇぇ………」
それしか言葉が出て来なかった。
いつもは私があの場所にいて、あの場所で過ごして。
その街が、知らない場所の様に見えた。
キラキラ輝いて、夜空によく映えて。
まるで、空を飛んでる様。
その夜景に見入っていると、突然私の髪を涼ちゃんが掬う。
「…?」
私が涼ちゃんの方を向いた瞬間、強く、強く抱きすくめられた。
柔らかな香りが私を包む。
「涼……ちゃん?」
「ん?」
「……何でもナイ」
何も聞く必要は無いような気がしたから。
この温かい胸に静かに包まれていたかった。
自然と、どちらからともなく唇を重ねた。
冷たい風とは、裏腹に熱い唇。
徐々に激しさを増すキスに、私の心拍数はどんどん早くなる。
夢中になり、周りの目なんて気にせずキスを繰り返した。
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