「何…しにきたの…??」

冷たくしたいわけじゃない。
だけど優しくできるほど私も大人じゃない。


つい、交わった視線を逸らしてしまった。


―パタン

ドアが閉まる音がして、完全に私と涼ちゃんだけの空間になる。


「やけに冷たいな」

涼ちゃんの優しさをまじえた声が私の上からふってくる。

「別に……」

私はというと、今だ涼ちゃんの方は向けず視線を横にずらす。

可愛くないな………私。
素直になれない自分に少しの罪悪感を持つ。

会いに来てくれたのに。
馬鹿みたいに緊張して、馬鹿みたいに可愛くない自分に歯痒さを感じる。



「来たらダメだった??」


……………………ずるい。

貴方はいつだってずるい。


そんな悲しい目で見つめられたら、こんな温かな手で頬を撫でられたら、何にも言えなくなる。


「…………ううん…。」


私はそれだけ言うと、涼ちゃんの大きい手に、私の小さな手を重ねた。









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