「で、ここにはこの公式が当てはまる。」


静かな教室に響く涼ちゃんの声。と私の心臓の音。
「この問題を……山下。解いて」

低くて落ち着きのある声。
すっと伸びた背筋。
怒った顔も………。

「山下……… そんなに見つめても答えは教えないぞ」
「へ!?」

『アハハッッ』

教室に一気に皆の笑い声が響いた…。

(恥ずかしい〜!!!)

私は赤くなった頬を必死に隠した。

「じゃあ 代わりに阿部!解いて。」

む〜と涼ちゃんをおもいっきり睨みつけると

「……………」

無言で私を見つめ最後には ふっと馬鹿にしたように笑った。