「泣いてるじゃん」


龍君は私の前まで来て頭を撫でる。


「龍君………?」

「泣いてたら ほっとけない」

どうしてかな。
フラれたばかりだから?

ちょっとの優しさが痛い程胸に響く。


「無理すんなよ。辛い時泣かないとスッキリしないし」

「りゅ……君」

「俺しかいねーよ。」

そう言った瞬間小さい私を龍君は優しく抱き寄せた。


どうして初めて会ったばかりなのに。こんなに優しくするの?

「う……うぅッひく……」


私は我慢出来なくなり龍君の胸で泣いた。

龍君は何も言わずにただ背中を撫でてくれていた。

それが堪らなく安心して。私は泣き止むまでずっと龍君の制服を掴んでいた。
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「ごめッも………大丈夫だから」

私は何とか泣き止むと龍君から離れる。

「本当に大丈夫か?」


顔を覗き込んだ龍君に私は胸が高鳴る。


湊に似てる。そう思ってたけど全然違った。

むしろ雰囲気は涼ちゃんに似ていた。

「ぁりがと……大丈夫だよ」
「ん。そっか」


私の頭を乱暴に乱すと優しく微笑んだ。

何て綺麗な顔で笑うんだろう。

私はその笑顔に涼ちゃんを重ねて見ていたのかもしれない。