「!?」

「あ 起きた?」


涼ちゃん今キス……
した!?


「学校だよ…?」


私は 俯せていた顔を上げると涼ちゃんを見る。

目線が交わると涼ちゃんはなんとも切ない瞳で私を見つめていた。


「莉子………」


どうしてだろう?

涼ちゃんが壊れてしまいそうに見えた。

あまりにも切なくて……
まるで幼い子のようなそんな眼差し。

「先生何かあった……?」

「……ないよ何も」


嘘だよ。
ならなんでそんなに泣きそうなの?

何を隠して何を求めてるの??


お願いだから、そんな悲しい顔しないで。



「莉子……何で泣きそう?」

「だって!…………」


涼ちゃんがそんな悲しい顔するから…………


「馬鹿だな。ほんとに何もないよ。大丈夫」

大丈夫な訳がない。

だって
涙は見せなくても心が泣いてる。


こんな悲しそうな顔見た事ないよ。
「もうすぐホームルームだぞ。待たせてごめんな」

無理して笑った涼ちゃん。


抱きしめてあげたいのに。

ここは学校。
私は生徒、貴方は先生。

そんな重荷が私の行動を止める。


「ううん。大丈夫。行くね」

私は静かに腰を上げると扉の前まで歩く。

戸に手をかけた時。
私のその手に涼ちゃんの温かい手が重なった。


私の頭の横に涼ちゃんの腕があり私に覆い被さるようにする。