「好きだから、離せねえよ…」


なんて安心出来るんだろう。

「大丈夫だから、な?ほらあ……」
「うぅ……ッヒク…」
「泣くなー?」


涼ちゃんの腕があまりに温かくて涙が溢れた。

ふんわり香る香水。

好きで好きで
しょうがないよ。


さっきまであんなに不安だらけだったのに、不思議だね?

今はこんなに幸せに満ちてるよ。


「好きぃ…うッ…」


ゆっくり体を離して私はずっと手に握っていた星の厚紙を涼ちゃんに渡す。

「これ………」


私のたった一つの願い。


『涼ちゃんが幸せでありますように……』


好きだよ。


だから
お願い。

私を置き去りにしないで。

「以心伝心?」

私の頭を撫でながら柔らかく笑った涼ちゃん。

少し眉を下げて
私を優しく見つめた。

私は交わった視線を一回逸らすと俯く。

「逸らすなよ…」


まだ繋いだままの手にぎゅっと強い力が加わる。

私は声に引き寄せられるように涼ちゃんを見上げる。


繋いだ手がとても温かくて安心する。

私はしばらく見つめたまま動けなかった。



「大好き莉子!」

―――あぁ、そっか。

何を怖がっていたのだろう。

大切な物はいつだってこんなに近くにあったんだね。