「子……?莉子…?莉子!!!!」
「え!?」


急に声をかけられ思い耽っていた私は我に帰る。


「どした?震えてるけど…」

「え……あ…」



私は涼ちゃんの手に包まれていた自分の手を見る。
小刻みに弱々しく震えていた。


怖いよ。

何がとか、どうしてとか、分かんないけど………


「莉子………?」

優しく私の頬を撫でた涼ちゃん。
優しい眼差しに私の目に涙が溜まっていく。

ゆらゆらゆらゆら……
視界がぼやけて、瞬きしたら今にも零れてしまいそう。


「涼ちゃん……」

名前を呼んだらとめどなく溢れた。


「本当どうしッ………」


どうした?
そう言おうとしたよね?
だけどその前に抱き着いた私に明らかに困っている涼ちゃん。


「怖いよ………」
「………え」


小さく零れた私の言葉に更に困った声を出した涼ちゃん。


でも、こんなにくっついてるのに凄く遠くに感じるよ。


涼ちゃんがどこか遠くに行ってしまいそうで。

怖くて怖くて堪らない。

お願い涼ちゃん。

離れて行かないで…

一人にしないで……


湊みたいに手の届かないトコロに行かないで…

私を置いて行かないで…

お願いだから………

「りょ……ちゃ…」

湊みたいに………


「大丈夫」

―トクン


あ………

「離れねぇ…」

ああ………
なんて温かいんだろう。

なんて優しい声だろう。