愛は、施設で育った。

 理沙はまだ、28歳。 愛は、12歳。

16歳のとき、理沙はまだ夫とは、出会っていなかった。

愛は、可愛くて、愛嬌のある子だった。
学校では、男子にも女子にも、人気があった。
 一部の女子を除いては。

それは、あるとき、クラスで人気のある男子が、愛の事を好きになったというのだ。
でも、愛のことを嫌っている女子達は、その男子が好きだった。

そのせいで、靴がなくなっていたり、教科書が破かれていたりと、いじめにあっていた
けれど、愛がどうにか大丈夫だったのは、母親や、友達のおかげだった。



愛は、最近全く元気のない母親を見ているのがとてもつらかった。
「ママ、愛が、ママを、幸せにしてみせるからね。」
 愛は、ベッドの中で、小さくつぶやいた


「ママー!!おっはよー☆」
「愛、どうしたの?やけに元気ねぇ。熱でもあるんじゃないの?」
ママが、あたしのおでこに手を当てる
あぁ、ママ、昨日よりは少し元気みたいでよかった。

「ママ、失礼ね、いつもと変わらないよ。」
「そぅ、それならいいんだけど。」

あたしはリビングにあるテーブルの前に座って、朝ごはんを食べる。
「いっただっきま~す!」

そんな愛を見て、母親は、小さく微笑むのだった。