世界はミューズ

それが嫌で油絵の具を愛した筈だったのに。
日常を加工できる人間になりたかったのに。


昼ご飯にしようとジャガイモを茹でる湯気を顔に感じながら、クラスの友人達の向かうところを想像する。

アーティスト。
作家の卵。
現代アート…エトセトラエトセトラ

そして今も日本中に、世界中にひしめく日常。
目の前でできあがる茹で上がったホクホクの食感。

(…ショボいけど楽だよ。
絵のこと考えないのは)

自分は最初からこちらに居たのではないの?なんとなく昔の自分に聞いてみる。
でも、こんなことをするだけの人間になりたくはなかったんだった。