「付き合うのかよ?」
問い詰める様に拓也が聞いてくる。
「付き合えないよ。相手のこと何にも知らないのに」
・・・後ろにいる拓也がどんな顔してるのかが気になる。
さっき不機嫌そうだったのは、これが原因なの?
だとしたら微笑ましい気持ちになる。
「そう・・だよな」
「うん」
「でもさ・・もしゆいと竜司がお互いのことを知って、仲良くなってから竜司に告白されたらどうすんだよ?」
「・・・・・・」
拓也は私と誰かが付き合うのが嫌なんだろうな。
特に、相手が竜司君だと心配もするよね。
だから安心させてあげないと。
「大丈夫だよ」
「・・何がだよ。」
「もし私が誰かと付き合うことになっても、拓也を放ったらかしにはしないから」
「・・・・・・・・」
「安心してね」
「・・・・・・・・」
・・返事がない。
もしかして私、的外れなこと言ったのかな。
「聞いてる?拓也」
と、不安に思いつつ後ろを向いて声をかけた。
拓也は、口を開けっ放しにして眉間にシワを寄せたままの、変な顔で惚けていた。
私が後ろに向いたのに気付くと、目を見開いて驚いていた。
「・・なっ、なんだよ」
「・・何って、私の話聞いてなかったでしょ」
「聞いてたよ。・・てか俺寝るから。静かにしてて」
「寝るって・・」
拓也は私の言葉も聞かずに、机に突っ伏してしまった。
「もぅ・・・」
拓也が寝てしまったので、授業に集中することにした。
次の日から、意味も分からない内に拓也は私を避けるようになったのだ。

