「はぁ……」 トイレの鏡の前で、ため息をついてしまった。 あれから橘くんに断って女子トイレに来て、個室から出ると鏡の前に立った。 洗った手をハンカチで拭きながら出たため息。 もう。 ……はっきり言って由菜のフリして橘くんといるのに限界を感じた。 私を由菜だって信じきってる橘くんに罪悪感は増すばかり。 由菜じゃない。 由菜じゃないのに……。