僕たちの時間(とき)

「ぅおっし、やるぜ俺は!! これからやることは山積みだ!! まずは何からいくか、ミツル!?」

 そう溢れんばかりの満面笑顔のまま振り返って訊いた葉山を、

 これまたニッコリと――紛れもなく愛想100%の笑顔で――見つめ返して山崎くんは。

「よーし、よく言った! さすがケン、いい心がけだ!」

 そう返すなり、やおら握った左手の人差し指だけを立てて前に突き出した。

「1つ、とっつぁんの承認には条件があるんだよ」

「は……?」

「なにそれ……?」

「『条件』、だとぉ……?」

 一様に顔を見合わせる。

 まるで、それまでのいい気分に水を差されたみたいになって。

 表情を曇らせた僕らを察したか、「ああ、そこまで難しい条件じゃないから」と軽く前置きしてから、あっけらかんとした口調で、彼は言う。

「なあに、カンタンなことだよ。俺たちにとっちゃー別に痛くも痒くも何とも無い」

 そうして、思いのほか楽しそうな風情になり、口許にニヤリと笑みを作った。


「ケンが、髪を元の色に戻す、もしくは丸刈りにすること。――それが、とっつぁんの出した条件」


 再び訪れる一瞬の沈黙。――その後……、


「んなっ…!!? なんっじゃ、そりゃーーーーーーっっ!!」


 葉山が大絶叫すると共に、残る僕ら3人が一斉に吹き出し大爆笑したことは……当然、言うまでもなかった。