僕たちの時間(とき)

 しかし、そんな彼のご苦労など、喜びにエキサイトしまくっている当の問題児張本人が気付いていようハズも無く。

「うっしゃ、これで学校の備品でやりたい放題し放題っ!!」

 …ナルホド、そこか目的は。

 でも、考えるまでも無く、学校公認の“部活動”として好きな音楽が出来るならば、それに越したことは無いじゃないか。

 ちょうど溜まり場…もとい活動場所にも、困っていたところなんだし。

 また葉山の言う通り、設備や費用の面などにおいても、色々と都合もいいし。

 ――まあ…それもきっと、発案は山崎くんあたりなんだろうけどね。

 その山崎くんは、「『外ヅラ』『外ヅラ』言うな! 人徳だ俺の!」と、少々不機嫌そうに…でも、やっぱり嬉しそうな様子は隠せないみたいで。

 唯一素直に「すげえよ光流!! やっぱ、さすがだよな!! ありがとう!!」と、まるで抱きつかんばかりに感謝の気持ちをありありと現しては惜しみなく賛辞のことばを掛ける渡辺くんの様子にも、

 やはり満更でもないようで、不機嫌を装いながらも得意げな表情を浮かべていた。


 皆が、同じように喜んでいる。開けた“未来”に。

 これから訪れるだろう日々への期待に、興奮を隠し切れないでいる。


 ――僕も同じだ。


 喜びに湧く皆の姿に間近で触れているうちに、何故だろう、こんなにもワクワクしている。

 まるで身体ごと躍り出しそうになってしまうくらいに、心がざわめいているのを止められない。

 …初めてだ、こんなカンジ。