『俺は単に、馬鹿2人に乗せられただけ…なのかもね』――と、山崎くんは笑った。
『俺にも、そこまでロックに染まっちゃいないけど音楽好きな兄貴が居るから。その影響でギターも弾けるようになったし、いつだって隣には聡が居たし、いっぱしに音楽のこと解ってたつもりでいたけど。…でもケンに会わなけりゃ、きっと俺だけじゃ聡の才能を生かすことが出来なかったと思うよ。それくらい、自分のキャパは狭かったんだってことが分かった。気付いた途端、無駄に高くなってた鼻っ柱を叩き折られた気分だったよ』
きっと俺は、このまま行けば、いつか音楽を捨ててたかもね。
そうバツの悪い表情で、でもどことなく照れくさそうに、彼は軽く苦笑する。
『聡の唄に乗せられ、ケンの口車に乗せられ……けど、じゃなきゃ俺の音楽は、それまでで終わってた。――でも、今は違う』
そして彼は微笑んだ。
その瞳に挑戦的な色を覗かせながら、僕を、見つめて。
『この先、自分がどこまでやれるか楽しみになったよ。新たに、君、という“武器”も加わってくれたことだしね。腕が鳴ってる』
『俺にも、そこまでロックに染まっちゃいないけど音楽好きな兄貴が居るから。その影響でギターも弾けるようになったし、いつだって隣には聡が居たし、いっぱしに音楽のこと解ってたつもりでいたけど。…でもケンに会わなけりゃ、きっと俺だけじゃ聡の才能を生かすことが出来なかったと思うよ。それくらい、自分のキャパは狭かったんだってことが分かった。気付いた途端、無駄に高くなってた鼻っ柱を叩き折られた気分だったよ』
きっと俺は、このまま行けば、いつか音楽を捨ててたかもね。
そうバツの悪い表情で、でもどことなく照れくさそうに、彼は軽く苦笑する。
『聡の唄に乗せられ、ケンの口車に乗せられ……けど、じゃなきゃ俺の音楽は、それまでで終わってた。――でも、今は違う』
そして彼は微笑んだ。
その瞳に挑戦的な色を覗かせながら、僕を、見つめて。
『この先、自分がどこまでやれるか楽しみになったよ。新たに、君、という“武器”も加わってくれたことだしね。腕が鳴ってる』

