僕たちの時間(とき)

 きっと2人は“似たもの同士”なんだろう多分。

 そんな直情径行な単純馬鹿2人と“友人”で居られる生徒会長も、また……きっと同じものを“底”の部分に持っているはずだ。

 しかし、2人と違って彼の場合、なにごとも表面に出さない。

 すべてを内に秘めてしまうけど。

 まだ短い付き合いとはいえ、次第にそれが見えてきた。


 ――山崎くんだけが……まだ読めない。内心で何を考えているのか。


 無条件に僕を“仲間”にしようとしてる他の2人に合わせているのだろう、

 僕に対して『ウチのキーボード担当』っていう扱いを、とりあえず一応は、してくれているものの……でも、時々探るような含みある視線を向けてくることがあるから。

 ようするに彼だけは、まだ納得していない、ということなんだろう。

 僕がメンバーに加わるということに。

 当たり障りの無い笑顔で僕と相対しながら……その実、笑顔の裏側で“品さだめ”しているんだろう。

 僕が、バンドのメンバーとして…“仲間”として、自分たちの中に迎え入れるに足る“資格”を有しているかどうか―――。

 何も言わずに微笑みながら、そうやって僕を観察している。密やかに。


 何があろうと常に当たり障りの無い笑顔を崩さず、ナニゴトも無いように受け流しては、他人に本心を絶対に見せようとしない。

 そんな山崎くんのようなタイプは、おそらく僕が最も係わり合いになりたくない部類の人間だ。

 自分の周囲のもの全て自分の掌の上で転がせる、と思ってるタイプ。

 それは、金持ちばかりが集まる小学校に通っていた経験上……決して少なくはない“馬鹿息子”の存在を目にしてきた中で、おぼろげながら理解したこと。