僕たちの時間(とき)

「ホントお笑いだわ! 情けない、バカな女だって笑いなさいよ! オレを騙したあげくが、このザマかって……!!」

 罪悪感で…胸が焼けつく……!

 でも、全ては僕の弱さが招いたことで……。

 決して遥のせいじゃない! 遥が苦しむことなんて、ないのに……!!

「よせよ……!」

 僕はそんな彼女に歩み寄り、そっと、その肩に手をのせようとして……でもためらい、その手を握り締めて、僕は告げた。

「そんなに自分を卑下するなよ。そんなに自分を責めるような真似、しなくてもいいんだ。オレが……全部オレが、悪いんだから……!」

 しかし、遥は僕の言葉を撥ね付けた。

「あなたって、ホントどうしようもないお人好しなのね! 何でそうなのよ! 何でいつもそんなに優しいのよ!!」

「そんなんじゃ……」

「好きでもない女に、優しくなんかしないでよ!!」

「――――!!」

 その瞬間、僕は遥の腕をぐっと掴んで叫んでいた。

「好きだよ! 遥のことだって、すごく好きだ! 嫌いであるはずなんて、ないっ……!!」

「…………!」

 遥は驚いたように瞳を見開いて、口をつぐんだ。

 その隙を逃すものかと、急いで僕は言葉を継ぐ。

 ――全ては言い訳にしかならないと……わかってはいたけれど……。

「遥が初めてだったんだ。女の子と、あんなに一緒にいるのが楽しいと思えたのなんて、初めてだった。遥じゃなかったら、きっとこんなに悩んだりはしなかったさ。――オレは優しくなんてないんだ。傷つけてしまった罪滅ぼしに何が出来るかと、そんなことばかり考えているだけの、弱い人間でしかないから……遥をこんなに追い詰めてしまってるなんて気付かなくて……でも遥だったから、オレはッ……!!」