「虎実ぃ…」


私はまた、自然と涙が出てきた。


「えっ、ちょ…!?大丈夫か?どうした」


そう言って小池は私の頭をポンッとした。


-フラッシュバック


松野が私に同じことをやったのを思い出した。


「いやっ」


私は、小池の手を振り払ってしまった。


「え……?」


小池は、驚いた顔をしているが、その表情には悲しいという表情が入り交じっていた。


「こ、小池…。ごめ…」


「ごめん。俺、帰るよ。カレー旨かった」


そう言って、小池は帰った。


<カレー旨かった。>そうは言ったけど、<また作って>とは言わなかった。


遠回しの別れ…。


なのになぜか私は、泣く気分ではなかった。