拓ちゃんのお友達に“かわいい”なんて言われても嬉しくない。




一番好きな人に言われないと、意味がない。




「拓ちゃん…熱いよ…頭痛い…目、開けられない…」




「分かったから…河野!保健室の先生呼んできて!」



「え…私が…?」



「早く!!」



「…分かった」




河野さんは拓ちゃんに指示されて機嫌悪そうに了解をした。




「…ふぇ…頭痛いよぉ…帰りたい…」



私はこの状況にどうしようもなくなって、涙を流した。




「未来!今そっち行くから!泣くな!!」




拓ちゃんは持っていたタオルをそばにいた友達に渡すと、フェンスに上ってストンと私の目の前に下りた。




「未来…大丈夫か?」



「っ…」



私は泣きながら左右に首を振った。




「拓海、未来ちゃんお前が連れてった方が早いよ、保健室」




さっき、私をかわいいって言ってくれて拓ちゃんのタオルを受け取った人が小さくそう言った。