独特の音を出して、掃除機は埃をどんどん吸っていく。



「暑い…」



エアコンの風があっても、動くとやっぱり暑い。




「よしっ」



掃除を終えて、私はエアコンの温度を21度まで下げた。




拓ちゃんがいたら


「電子ちゃんに怒られるぞー」


とか言うんだろうな…





「はぁ」



考えないようにしても、すぐに拓ちゃんのこと考えちゃう。




「……」




私は掃除機も片付けずに、ソファへとダイブした。




「拓ちゃんの……」



拓ちゃんの…




「バァーーカ!!!」




キーンとリビング一帯に私の声が響いた。




「……疲れたぁ」



叫んでも、虚しいだけ。




疲れるだけだった。




私は唇をギュッと噛み締めて瞼を閉じた。




拓ちゃんに今日は会いたくない。



寝てれば家に来ても会わなくて済むから。




「おやすみなさい…」




私は一人呟いて、そのまま眠りについた。