『海々』



「何で…
何で翼にあんな事言ったわけ?」



「見てたのかよ?」



「……」



翼が教室から出て



ウチはすぐ雅也に近づいた



「見てたのに止めなかったのかよ?」



「ウチが止めてアンタらは言う事聞いたわけ?」



「俺は聞いてた」



そう言って



誰かの椅子に座る雅也



「翼は言う事聞かなかったよ
多分」



「何であんな奴まだ好きなんだよ?」



「ウチは一途なの!」



ウチも誰かの椅子に座った



「ふーん」



「ウチよりも翼の方が一途だけど…」



「アイツは一途過ぎんだよ」