だが先頭を歩く勇は真っ直ぐ歩き続けた。

「待って」

夏希は足を止める。

夏希の声に振り返る2人。

「どした?」

勇は聞く。

「今は奥に行っちゃダメ。二階に行こう?」

夏希は感じていた。

この奥に只ならぬ重い空気が漂っている事を。

二階へ行くのも恐怖だが、このまま奥へ進めよりかは、遥かにマシだった。

「判った。二階へ行こう」

勇は了解してくれた。

3人は来た廊下を少し戻り、二階へ向かった。

二階への階段を上がりながら少し安心している夏希は、その“重い空気”が地を這う様に近づいて来ている事に気が付かない。