尚子が目の前まで来た時、何かに引っ張られ床に崩れた。

『前田っ!やめろ、放せ!!』

夏希たちを助けてくれたのは奈々だった。

『ごめんね。あの時逃がしてあげられなくて・・・ごめんねごめんね』

奈々は尚子を抱きしめ何度もごめんねと繰り返す。

『前田さんッ・・・』

尚子は奈々の腕の中で泣きじゃくった。

その光景を少し離れた所から見ている3人は全身から力が抜けた。

「助かったぁ・・・」

旬が安堵の溜め息をつく。

「ねぇ・・・さっきはありがとう」

「あ、あぁ。別に・・・」

勇はそっぽを向いてしまった。

「かっこつけやがって」

「ぅるせぇよ」

ニヤリと笑う旬を叩く。

「あれ?居ない」

夏希は尚子と奈々が居ない事に気が付いた。

「成仏したんじゃん」

旬が嬉しそうに言った。

『ごめんね』

どこからか尚子の声が聞こえた。