「今日はどれくらい歩けるかなぁ」

交通事故で左足を骨折してしまった少女、森本尚子(モリモトナオコ)は看護婦の前田奈々(マエダナナ)に車椅子を押してもらい二階にあるリハビリルームに向かっていた。

「尚子ちゃん、今日も頑張ってね」

尚子の頭上から笑顔で奈々は言う。

毎日欠かさず二時間、午前と午後に分けてリハビリを続けてきた。

そのかいあって、尚子の左足は退院できるまでに回復していた。

「退院したら何がしたい?」

尚子が退院する前日、奈々は聞いてみた。

「思いっ切り走りたい!!」

尚子は病室の窓から中庭を見ながら無邪気に答える。

だが、神様はそれを許してくれなかった。