3人は出口に向かって走り出した。

キュル...キュル...キュル...キュルキュル...

この音に3人は顔が引きつる。

恐る恐る3人は振り返る。

キュル...

「ひいぃぃっ!!」

看護婦の霊はゆっくりと、確実に3人との距離を縮める。

『また邪魔する気?』

その低く冷たい、地の底から響くような声は看護婦の物ではなく、その後ろに立つ少女の物だった。

看護婦の霊は後ろに振り返り、少女の前に立ちはだかる。

「・・・今のうちに」

夏希が指示を出し、3人は後退りをしながら背後の出口へと向かう。

『邪魔をするなあぁぁー!!』

少女の悲鳴とも言える怒鳴り声に看護婦は砂のように姿を消した。

3人は尻餅をつき、体が動かなくなった。

「来な・・・い、で・・・」

金縛りにあい、夏希は上手く口が動かない。

勇と旬は口さえ動かない。

ずっと首を横に振るだけ。

勿論、金縛りにあっているので、カクカクとしか動かない。

『前に来た時、前田さんが追い出そうと邪魔したからカルテを渡しておいたの。この病院に戻ってくるように。そしたらちゃんと返しに来たからビックリしちゃった』

少女は可愛らしく笑う。

意味が解らなかった。

ただ解った事は看護婦の霊は悪霊ではなく、少女が悪霊だったという事。