山は闇に包まれる。

病院に着く頃には、もうすっかり夜になっていた。

会話は無い。

3人は無言で歩き続けた。

立入禁止の黄色いテープが張られた、病院の入り口に悲しい顔をした少女が立っていた。

旬を助けてくれたのだから怖くはない。

少女は霊感のある夏希の心に語りかけた。

『ごめんなさい、私の所為で・・・。診察室の鍵は三階の事務室にあるから』

それだけ言うと少女は姿を消してしまった。

「うおっ!消えた、、、」

旬が勇の背後に隠れる。

「事務室は三階だって」

夏希は少女が居た場所を見詰めながら言った。

3人の間に冷たい風が吹き抜ける。

「あの子が言ってたのか?」

勇は振り返り、夏希を見詰める。

「うん」

夏希は頷く。

3人は黄色いテープを跨いで、呪われた病院に再び踏み込んだ。

夏希の肩が一気に重くなる。