「カルテじゃん」

勇が夏希に手渡したのは病院のカルテ。

「これがどうしたの?」

カルテを裏表にひっくり返しながら聞く。

夏希と旬には勇が何を言いたいか全く解らない。

「カルテ、、、俺の部屋にあったんだよ」

「えっ!?」

2人が目を丸くする。

「開けたら、、、玄関に置いてあった、、、」

「動いたの、、、?」

夏希の顔が歪む。

「そんなわけ、、、」

旬は顔が引きつった。

「俺、、、まだ部屋入ってない」

勇は制服姿のままだった。

旬も制服だったが、いつもの事らしい。

「早いとこ、返しに行こう」

旬が空を見て言う。

空は夕焼けに染められていた。

3人の不揃いな影が長く伸びる。