旬も一緒になって笑う。

「もういい加減にしてッ」

夏希は勇を睨む。

この時初めて夏希と勇の顔の間が数㎝しかない事を知った。

咄嗟に夏希は勇を突き飛ばす様に離れた。

夏希の頬は淡いピンク色になっていた。

「何、本いらないの?」

勇はブックカバーを外した。

「怖いとか言って、またホラー小説読んでんじゃん」

そう言って旬に表紙を見せる。

「返してッ」

夏希は本を取り返す事に成功した。

「、、、で、行くの?」

「、、、行く」

悩んだ末の答えだった。