帰宅して、そのまま自室に向かう。

部屋に入ると同時に携帯が鳴った。

旬を待っているかのように、、、。

ディスプレイには登録していない番号が表示されていた。

「はい、誰ですか?」

『ザッザッ...ザザザ...』

砂嵐が聞こえる。

不信な電話で昼間の勇と夏希の会話を思い出した。

男子達と一緒に居たので、あまり聞き取れなかったが『電話』というワードが出てきたのは確かだった。

『ザザ...ザザッザッ...』

もしかすると、このイタズラ電話の事かもしれない。

「お前、誰だよ!?」

『ザザッ...カル...ザッ...テノ...ザザザ...ヘンキャ...ク...ザッザッ...ヲ...オネガイ...シマ...ザッザザ...ス...ザッザッザッ...』

音を立てるように旬は唾を飲んだ。

汗が額を流れる。

『ハヤク!!』

「ひぃっ!!」

旬は電話を切ってベッドに携帯を投げた。

開かれたままの携帯のディスプレイには待ち受け画面が映っていた。

呆然と携帯を見詰めていると、旬の顔は恐怖に歪んだ。

ディスプレイには次々と数字が並んでゆく。

その番号は勇の自宅の電話番号だった。

「ひいぃっ!!」

旬は小さく短い悲鳴を漏らし、カルテを手に取り家を飛び出した。