「なぁなぁ、山の中にある廃墟病院に肝試しに行こうぜ」

始まりは勇の一言だった。

「大山病院の事、、、?」

旬は顔をしかめて聞く。

「そう、大山病院。あそこって出るらしいぜェ」

勇は旬に手の甲を見せ、左右に揺らしながら舌を出した。

いわゆる『お化け』のポーズ。

「オレ苦手なんだよ。幽霊とか」

「お前男だろォ?何ビビってんだよ」

そう言って笑った。

「ビビってねーよ!!」

旬はムキになる。

「じゃぁ今日の夜、駅前集合な」

勇はニヤリと笑う。

「、、、判った」

渋々の了解だった。

勇は旬の隣で本を読んでいる夏希に話しかけた。

「怖いもん」

本に視線を向けたまま答える。

「こんなの読んで何が怖いだよ」

勇は夏希から本を取り上げた。

「やだッ、、、返して」

勇は身長、164㎝。

夏希は153㎝。

勇は夏希よりも11㎝高いので、勇が高く手を上げると、背伸びをしても夏希は届かないのだ。

ちなみに旬は154㎝。

「取れるもんなら取ってごらん」

勇は夏希をからかい、笑う。