もう少し。

3人の目と鼻の先に出入り口がある。

走りながら後ろを確認する夏希。

すると夏希は足を挫いて、バランスを崩し転倒してしまった。

看護婦は車椅子を押しながらロビーを走っていた。

「小野!大丈夫かっ!?」

勇が夏希の肩を抱いてくれた。

夏希は足の痛みを必死に耐え、走り続けた。

看護婦との距離は数m。

旬は先に外に出ていた。

少し遅れて勇と夏希は外に出た。

そして3人は必死に走り続けた。

3人は、ほぼ同時に後ろを振り返った。

看護婦は出入り口の所で止まっていた。

どうやら病院から出る事が出来ないようだ。

それを確認すると3人は足を止め、地面に崩れ落ちた。

「ハァ、、、ハァ、、、ハァ、、、」

3人は息を整える。

「何とか助かったみたい、、、」

「俺はこの病院で一生分の肝試しをしたよ、、、」

勇は苦笑いをする。

「俺も、、、」

3人は顔を見合わせて笑う。

「帰ろう、、、」

3人で山を下り、カルテを一つずつ分けて、3人それぞれ家路についた。