「これからどうする、、、?」

「旬を探しに行く」

勇の言葉に迷いは無かった。



夏希は廊下の様子を窺う。

絶えず重い空気が流れているものの、看護婦の霊の様に強烈な物ではない。

「今なら大丈夫そう」

振り返り後ろに居る勇に伝える。

勇も夏希の直ぐ後ろで見ていたらしく、顔の距離が近い。

夏希の頬は淡いピンク色に染まった。

「じゃぁ行くか、、、」

勇は立ち上がり先に部屋を出た。

後を追う様に夏希も部屋を出る。

辺りをキョロキョロ見回しながら前に進む。

2人はカウンターを見つけると、駆け寄り内側を覗く。

そこに旬の姿は無かった。

「もっと先か、、、」

勇は懐中電灯で闇の廊下を照らす。

見える限りでは扉の向こうは全て病室のようだ。

「絶対探し出す」

勇は全ての病室を覗く覚悟らしい。

それは夏希も変わらない。

廃墟病院と霊を除いて夏希は勇と2人で居られる事が素直に嬉しいのだ。

夏希は勇に特別な感情を抱いている。

勇は恋愛に鈍感な為、二年前からの夏希の気持ちに全く気が付かない。