右に曲がった勇と夏希は必死に走り、扉の開いていた部屋に飛び込んだ。

2人は肩で息を整える。

「、、、ハァ、、、ハァ、、、、、、あれ?、、、旬は、、、」

勇は辺りを見回すが、そこに旬の姿は無い。

「分かれ道、、、」

消えてしまいそうな声で呟く夏希。

「アイツ左に行ったんだ、、、」

勇の声も消えてしまいそうだ。

夏希の霊感がピクリと反応する。

「どうしよう、旬が」

『うわああぁぁあぁー!!』

旬の悲鳴で夏希の言葉は遮られた。

「ッ!?、、、今のって、、、、、、」

「、、、旬だ」

「看護婦に見つかったんだ」

そこから2人は黙り込む。

夏希は左に填めた腕時計を見る。

この病院に入ってからまだ30分も経っていない。

夏希は早くこの病院から逃げ出したかった。

だが友達である旬を置いてここを出るわけにはいかない。