キュル...キュル...

遠くの方から錆び付いたタイヤの回る音が聞こえる。

...キュル...キュル...

だんだん近づいて来るのが判る。

夏希は後ろを振り向く。

遠くの方で車椅子を押しながら此方に向かって歩いている看護婦が居た。

「、、、ひゃっ!!」

夏希の歩く足が止まった。

俯いていて顔がはっきりと見えないが、生身の人間ではない事は判る。

看護婦の霊が足を止める。

ゴクン...夏希は唾を飲んだ。

キーキュルキュルキュルキュルキュル...

車椅子のタイヤの回る音が速くなっている。

看護婦の霊は此方に向かって走っているのだ。

「走ってー!!」

夏希に背中を押され、訳の解らない2人は振り返る。

「ぅわァっ!!」

2人は声をあげ、全速力で走り出した。