俺が校門へと行くとそこに小柄な男子高校生がいた。その男はキョロキョロしながらオドオドとしている。


もしかしてあいつのことだよな? なんであんなにオドオドしてるんだ? しかも今度は男って最上はどんだけ愛されてるんだよ!


俺はムッとしながらもその男に『俺を呼んだのはキミ?』と声を掛けた。
男は急に声を掛けられて驚いたのか肩をビクッとしたと思ったら俺の顔をジッと見ながら話し出す。


「貴方が佐倉君ですか?
えっと…僕は、斉藤 洋介と言います!」


「その斉藤君が俺に何の用?」


前回は相手が女の子だったから強く言えなかったが、目の前にいるのは男だ。
こいつは前言ってた最上の彼氏なんじゃないかって思った。


案の定、斉藤君とやらは俺にビクビクしていた。


「僕は最上さんと付き合っていました」


ビクつきながらも彼はそうはっきりと言った。


やっぱり彼氏か。
ん? でも今こいつ過去形で『付き合ってました』って言ったよな? だったら最上は別れたってことか?
それなら何故俺の所にこいつが来てるんだ?


訳が解らなくて混乱していると斉藤君は更に話し出していた。



「これは最上さんを見て感じたことなのですが、佐倉君は最上さんのことを好きですよね?」


「はぁ? そんなの関係ないだろ?」


勝手に決めつけられたような口振りで言うのでつい怒ったようは口調で言ってしまった。


「関係ないとかそういうのは良いです。貴方を見て確信しました。
貴方と最上さんは似ています。佐倉君も付き合ってる人がいるからその人に逃げてるのじゃないですか?」


斉藤君の言葉に俺は何も言い返せない。


俺は梢という彼女を使って最上に向き合う事を諦めてるのだから。