私と菜美は肩で息をしながら顔は涙でグチャグチャだった。


「菜美」

私が菜美の名前を呼ぶと菜美は『何よ』ってふて腐れた小さな声を出す。


その短い言葉は『何言っても謝らないわよ。それとまた同じこと言ったら今度はブン殴ってやる』って聞こえた気がした。



「菜美って本当に私の事を見てくれてるよね。いつもありがとう」


素直にそう伝えると菜美ははにかんだ笑顔を見せてくれる。



「そりゃあ、あたしは由衣の事が好きだからね。だから支えになってあげたいと思うわけよ。由衣はすぐに折れるから」


「そんなすぐには折れないよ」


菜美の憎まれ口にムッとしながら言葉を返すと菜美はクスクスと笑う。


「笑わなくてもいいじゃない」


更にムッとした表情で文句を言うと菜美も更に大きな声で笑いだした。


「ねぇ。由衣はまた佐倉君に伝える決意は出来た?」


笑い終わったと思ったら菜美は真剣な顔で尋ねてくる。


「まだ怖いけど、応援してくれる人が二人も要るんだし頑張らないと」


菜美と斉藤君にここまでズタボロになるまで言われたのだ。
逃げたらまた何を言われるかわからないからね。


私がすることはただ一つ。


佐倉君に気持ちを伝えるだけ。


私は携帯を取り出してメールを作成した。