私は佐倉君から逃げるように自宅まで走った。


佐倉君は昔からの人気者で私はただの一人の生徒。
言ってしまえば王子様とお姫様にはなれない一般市民だ。


それなのに…
言っても意味がないのに伝えてしまった『好き』という言葉を思い出す。


とても大切な言葉だというのに今はとても悲しくて辛い言葉だった。


私は走りながらも携帯を制服のスカートから出して電話をかけた。


電話をかけると電話特有の電子音が流れた。
しばらくして電話の主が出てくれて『もしもし』という嬉しそうな声が聞こえた。