「後で蒼空ちゃんにお礼言わないとね。」
「そうだね…」
ごめんね、蒼空。
私が倒れたばっかりに。
「お母さん、医師に知らせてくるわね。」
「うん…」
それにしても、
あの時の頭の激しい痛みはなんだったんだろう。
今もズキズキ痛いし…
もしかして、どこか悪いのかな?
だったら、早く治して欲しい。
バスケだって、やりたいし。
もうみんなに迷惑かけたくない。
しばらくすると、病室の扉が開いて医師とお母さんが入ってきた。
「あ、お母様はそちらに。」
「はい。」
お母さんは医師に促されて丸イスに座った。
先生は少し屈んで私を見た。
「立夏さん、調子はどうですか?」
「まだ…ちょっと頭が痛いです。」
「そうですか…」
医師はそれから心音を聞いたりした。
「では、また何かあったら呼んでください。」
医師は私に笑顔を向けて病室を出ようとする。
「あ、医師!」
「なんでしょう?」
私が呼び止めると、医師は扉を開ける手を止めて私を見た。
「私、どこか悪いんですか??」
医師は少し考えてから言った。
「それは、お母さんから聞いてください。それから、僕から詳しい事を話しましょう、では。」
そして。
医師は去って行った。

