「好きだった人を、大事に思って悪い?」
おかげで、少しずつ、あたしの噂は消えてきている。周りの、先生への興味も。
永井くんはしばらくあたしの顔を見ていた。何かを探るように。
「どうして、そこまで?」
先生に傷を残したあたしにできる、精一杯のことだからよ。
あたしは永井くんの言葉を遮るように、自分からキスをした。
「先輩の、その縋る(すがる)ような目に、ドキドキしますよ」
永井くんはフッと、また口角を上げて笑うと、あたしの舌を追った。そのまま首筋へと唇が動く。
生徒会室には、あたしと永井くんの吐息が漏れた。

