あたし、花火。[短編49P][企画]


「好きだった人を、大事に思って悪い?」


 おかげで、少しずつ、あたしの噂は消えてきている。周りの、先生への興味も。


 永井くんはしばらくあたしの顔を見ていた。何かを探るように。


「どうして、そこまで?」


 先生に傷を残したあたしにできる、精一杯のことだからよ。




 あたしは永井くんの言葉を遮るように、自分からキスをした。



「先輩の、その縋る(すがる)ような目に、ドキドキしますよ」


 永井くんはフッと、また口角を上げて笑うと、あたしの舌を追った。そのまま首筋へと唇が動く。



 生徒会室には、あたしと永井くんの吐息が漏れた。