あたし、花火。[短編49P][企画]


 今更ですけど、と、永井くんがキスを止めてあたしの瞳を見つめてきた。




 あたしはまた、心臓が痛くなる。




「付き合わなくても、花火は見に行けると思いますけど」


 永井くんは至極当然の質問を口にする。今まで聞かれなかったのが不思議なくらい。


「そうだね」

 あたしは答えを言わず、微笑んだ。