あたし、花火。[短編49P][企画]

 そうしたら、今は何とか誤魔化している先生も、教員を続けられなくなっていただろう。

 それはさすがに可哀想だから。


 あたしが悪く言われるのも、もし進路に響くことになろうとも、そんなことはどうでもいいけれど。


「まだ、好きなんじゃないんですか?」

 ゆっくりとまたこちらを見る永井くん。表情のない、綺麗な顔だ。


 首に回したあたしの手をどけないのは、少しは迷っている、と取っていいのかしら。


「好きだった。でも、もう好きじゃない」