青春スパイ大作戦【短編集】


「・・・ゴメンネ」

彼女が落ち着くまで、オレはただずっと待っていた。

「いいよ。気にせんでも。泣きたい時は泣いた方がええし」

「ウン・・・。でも、もう大丈夫!」

オレは、その言葉を聞いてどうするか迷ったが、

「彼氏の話聞いてもいい?」


沈黙の後、


「・・・言わないと、あかん?」

「ウン。本田さんがよければ」

彼女の傷を広げることになりかねないのだが、その時のオレは、素直にそう答えた。