青春スパイ大作戦【短編集】


そのまま、車を出発させるわけでもなく、オレ達は雨音に包まれながら車内で話を続けた。

そして、オレはとうとう我慢ができず、聞きたかった質問を投げかけた。

「彼氏とは、最近どうなん?」

思った通り、彼女は押し黙ってしまった。

「うまいこといってないん?」

オレは、できるだけ優しく聞いた。

オレと本田さんは、学生の頃から喋りはしたが、深い話は一度もしたことはなかった。
こちらから聞いても、彼女は本音の部分ではいつも軽く誤魔化したり、はぐらかしたりするような子だった。


「・・・・・・ウン」



本田さんの目から、涙が零れ落ちた。